ナレーションに初挑戦した野口氏。オファーが舞い込んだ際には「そんなことを僕がやっていいのか?」と戸惑ったというも、アフレコ収録では「映画の世界に入り込みながらも楽しい経験でした。いい声だとよく褒められたりしますから」と満更ではない様子。苦労した点については「画に合わせて言葉を当てはめるのが難しかった。オリジナル版のモーガン・フリーマンさんが素晴らしくて、それを聞きながら吹替えていくのはプレッシャー。日本語で翻訳したものを画に当てはめようとすると言葉が長くなったりするので、早く喋らなければならず、そこも苦労した」と振り返った。
アフレコ時には自身の体験を反映したセリフを追加するなど、オリジナルなアドリブも加えたという。「原本を大切にしつつも、ロケットの打ち上げや宇宙国際ステーション、宇宙遊泳のシーンなどでは、自分が実際に見て感じたものに近い言葉に変えてもらったりしました」と聞きどころに挙げた。
水先案内人として劇中に登場するジョン・へリントン氏は、偶然にも同じ時期に宇宙に行った宇宙飛行士としての同志。野口氏は「私が1996年に宇宙飛行士に選ばれ、ヒューストンに行ったときに彼も同じように選ばれ、同じ訓練をし、同じ時期に宇宙に行った。日本公開にあたり、このようにお手伝いできるとは不思議な縁を感じます。彼の姿を見て相変わらず元気だなと嬉しかった」と懐かしんだ。
本作は、日本ではあまり知られていないアメリカの大自然と人間のつながりに焦点をあてたドキュメンタリー。宇宙のどこかにも地球のような大自然が広がり、人のような存在がいる可能性はあるのだろうか?野口氏は「それはあり得ますね」と認めて「僕らがいる銀河系だけでも太陽のような星が2,000億個あると言われているので、高度な知性を持った生命体や広大な自然を有した星があればいいなという気持ちです」と期待を込めていた。
また宇宙人にオススメしたい大自然スポットについては「アメリカというと、N.Y.やL.A.を思い浮かべがちだが、有名でなくても素晴らしい景色がある。この映画にもアラスカの綺麗な海や自然が織りなす奇跡のようなシーンが映し出されるので、宇宙人よりもまずは多くの地球人に地球の素晴らしさを知って欲しい」と地球人に呼び掛けていた。
会場に詰め掛けた子供たちとのQ&Aも実施。「宇宙で感じたことは?」と質問された野口氏は「生きている地球を見たときは感動しました。宇宙に行って実際に地球を見ると、地球が本当に回っていることに感動。太陽の当たり方、雲の動きやオーロラなど地球は色々な表情を見せてくれて、一瞬として同じ姿がない。まさに生きている地球だと思った」と打ち明けた。さらに「もう一度宇宙に行きたい?」などと聞かれた野口氏は「もう一度行きたいと思います。私はこれまで3回宇宙に行きましたが、時代によって宇宙船も出来ることも変わっていくので、宇宙に行くたびに違う経験があるから」と実感を込めて「今回選ばれた米田あゆさんや諏訪理さんら新人宇宙飛行士は勿論、若い人たちにも早く宇宙に行ってもらって、宇宙を楽しんでほしい」と会場の子供たちにエールを送った。
最後に野口氏は「この作品は、日常から離れて大きなスクリーンでアメリカの大自然にどっぷりと浸かれるのも素晴らしい経験だと思う。コロナ禍で海外に行けなかった人も多いと思うので、この作品でつかの間のアメリカ旅行を楽しんでほしい。私も公開中に一観客としてスクリーンで観直したいです」とアピールしていた。
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