積水ハウス株式会社は、木造住宅シャーウッドのオリジナル陶版外壁「ベルバーン」の静岡工場の製造ラインに画像処理とAI技術による品質検査システムを2018年6月4日(月)より導入します。
■画像処理とAI技術による品質検査システムでリアルタイムに良品出来高を管理
■画像学習の必要枚数を100分の1~数分の1に削減
■大判のベルバーンを最長2秒と高速で検査でき、95%の精度で判定可能
■在庫を約40%削減、品質向上とコストダウンを実現
積水ハウスオリジナルの陶版外壁「ベルバーン」は、優れた耐候性や耐久性、強度を持つ高級外壁材で、当社の木造住宅シャーウッドの8割以上に採用しています。焼き物ならではの土の温かみや自然な風合いを表現する高い意匠性を持ち、色褪せしないため塗り替えの必要がなく、長期にわたり美しさを保ちます。
工業製品として厳しい品質検査のもと、12種類の異なる柄や色の「ベルバーン」を静岡工場と東北工場(生産能力:合計8万m2/月)で自社生産しています。
「ベルバーン」は陶磁器などと同様に、粘土を主体とした材料に釉薬をかけ、焼き上げる焼き物のため、製造では気候や温度、湿度などの条件によって、材料や釉薬の配合、焼成温度を調整するなど、製品寸法や色などを一定の品質に保つために高度な生産技術、品質管理が必要です。従来、色や曲がりなどは中間の成形工程で自動検査していましたが、凹みや膨れなどの外観の仕上がりは最終検査で、熟練技術者が目視で行っており、目視検査後における良品出来高を予測して、多めに生産する必要がありました。
今般、画像処理とAI技術による品質検査システムを目視検査の前に導入することによってリアルタイムに良品出来高を管理し、良品の実績値と予測値との乖離への備えとして毎月の生産量の0.4%(150m2)程度発生する在庫を約40%削減して、品質向上とコストダウンにつなげます。
当該品質検査システムは、コグネックス株式会社(本社:東京都文京区、社長:ディディエ・ラクロワ)の画像処理に特化したAIソフト「ViDi Suite」を活用し、収集した製品画像を解析して特徴を抽出し、画像を深層学習(ディープラーニング)させ、品質検査に適用します。良品と不具合品の特徴定義については、人の手を加えて注目する部分を指定しますが、一般的な画像学習では1,000枚程度必要だったのに対して、10枚~数百枚と少ない枚数で画像学習が可能です。
従来型画像処理手法による検査システム構築では、画像処理に関する基本知識だけでなく、ノウハウが必要で高度な技術を要求されます。これに対して「ViDi Suite」は高度な技術、知識は必要なく、直感的に操作して学習させ、システム構築できるため、工数や費用を大幅に削減することができます。
また、全体を俯瞰しつつ、不具合箇所の見当を付けてチェックするため、200cm×32cmの大判のベルバーンを最長2秒と高速で検査でき、95%の精度で判定可能です。
積水ハウスは、陶版外壁「ベルバーン」の製造工程への画像処理に特化したAIによる品質検査システム導入で、生産の効率化と品質管理の強化と品質向上を図ることで、お客様の満足度をさらに高めるとともに、今後も製造ラインにおけるAIやIoTの活用を推進してまいります。
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