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IBS研究チーム、脳電症発作危険リアルタイム監視する脳センサー開発

記事公開日時 : February 11, 2020, 5:27 pm
ACROFAN=Bora Kim | bora.kim@acrofan.com | SNS
脳電症(癲癇)による発作をリアルタイム監視することができるセンサーが開発された。基礎科学研究院(IBS)ナノ粒子の研究チームヒョン・テクファン団長(ソウル大学教授)の研究チームは脳、複数の領域のカリウムイオン(K +)の濃度変化を同時に測定する高感度ナノセンサーを開発し、自由に移動するマウスの発作程度をリアルタイムで観察することに成功した。

3大脳疾患と選ばれた脳電症は脳神経細胞の不規則な興奮が原因で発生する。興奮した脳神経細胞はポタシウム(カリウム)イオンを外に送り出しながら緩む。しかし神経細胞内のポタシウムイオンが抜け出さず、興奮状態を維持すると脳電症の症状である発作やけいれんが起こる。

 

脳電症をはじめ、神経細胞の活性に起因する脳疾患の正確な診断のためには、様々な脳の部位でポタシウムイオン濃度の変化を追跡‧観察することが必要である。脳電症による発作‧けいれんは全体人口の1%が持っているほど頻度が高いが、これまではリアルタイムでの神経細胞の変化を捉えることが難しかった。神経細胞が興奮したときに細胞膜のイオン通路を通って移動する複数のイオン(ポタシウム、ナトリウム(Na)、カリウム(Ca))の中でポタシウムイオンの濃度変化のみを選択的に測定しにくかったからである。さらにポタシウムイオンの濃度変化は他のイオンに比べて相対的に小さくてより測定が困難である。

これにより優れた選択度と敏感度を持つポタシウムセンサーを開発しようとする多くの研究が行われたが、従来の技術では培養された神経細胞、脳切片、麻酔状態の動物など限られた環境でのみ濃度を測定することができるという限界があった。動きが脳神経細胞の活性に即座に反映されるため、より正確な観察のためには自由に移動する状態でも活性を測定することができる技術が必要な状況である。

研究チームはナノ粒子を利用して自由に動き回るねずみでポタシウムイオンの濃度変化のみを選択的に測定することができる高感度ナノセンサーを開発した。まず研究チームはポタシウムイオンと結合すると緑色の蛍光を出す染料を数ナノメートル(nm)サイズの穴が付いているシリカナノ粒子の中に入れた。このナノ粒子の表面を膜のポタシウムチャネルと類似した構造を持ってポタシウムのみを選択的に通過させる薄い膜でコーティングした。膜を通過したポタシウムイオンが染料と結合して発する蛍光の強度をもとにポタシウムイオンの濃度を測定することができる。

以降、研究チームは動くねずみの脳海馬、扁桃体、大脳皮質にナノセンサーを注入した後、海馬に電気刺激を加えて発作を起こし、ポタシウムイオン濃度の変化を測定した。その結果、部分発作が起こる場合、刺激が開始された脳海馬で扁桃体、大脳皮質の順に順次的に濃度が増加した。一方、全身発作時には3つの部位ポタシウムイオン濃度が同時に増加し、持続時間も長くなることを確認した。

今回の研究は自由に動く状態でリアルタイムに脳神経細胞活性を測定することはもちろん、脳のさまざまな領域で同時に濃度の変化を監視することができ、発作の正確な発症機序を理解するのに寄与するものと思われる。

ポタシウムイオン濃度は脳電症はもちろん、アルツハイマー病、パーキンソン病などの脳疾患の発生を監視することができる指標となるだけに、研究チームは今回の技術が様々な脳神経細胞の過剰な興奮が原因で発症する複数の脳疾患の発症原因究明と診断に役立つものと期待している。

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