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新型コロナウイルス感染症パンデミック、大韓民国ムン・ジェインの政府疾病管理本部はどのように戦ってるか

記事公開日時 : March 30, 2020, 5:58 pm
ACROFAN=辛 承羲 | seunghee.shin@acrofan.com | SNS
 
▲新型コロナウイルスは全世界を脅かしている(資料出典:JHU CEES)

2019年12月中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、全世界的に拡散されて人々の足を引っ張っている。全世界の数字を見るとき、3月初旬から少しずつ上昇を見せ、二週から感染者が急激に増えている。たった一週間で感染者数が26万人が増えて、27日の時点での合計感染者数は531,708人、総死亡者数は24,053人で、死亡率は約4.5%である。

瞬く間に表れた新型コロナウイルスの威力で全世界では現在緊急事態だ。専門家は世界GDP、消費者物価指数だけでなく、グローバル成長率まで下落を示すと予測した。経済活動の減少はすでに起こった。旅行日程、知人との約束キャンセルはもちろん、在宅勤務でじっとしながら家でこの事態が終わることだけを待っている。

国内の場合、2月中旬までは安定的に対応していたが、集団拡散により3月中旬まで毎日100人以上の急激な上昇を見せた。最近では安定期で入っているが、全国的に約82.4%が集団発生との関連性が確認され、今後の集団発生の可能性を低下させることが重要である。3月27日現在の累積感染者数は9,332人であり、死亡者数は139人である。

新型コロナウイルスにより変わった状況を一刻も早く改善できるように多くの努力が行われている。幸いなことに国内新型コロナウイルスの防疫は優れているという評価が続いている。世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス対応の模範事例として韓国を挙げたのがその例である。現在韓国の新型コロナウイルス防疫は疾病管理本部の指揮下、未来志向的に進められている。

▲ポスターを通じて簡単に予防規則を知ることができる(出典:二村ビレッジセンター)

韓国疾病管理本部(https://www.cdc.go.kr/)が新型コロナウイルス克服のため進めている防疫事項としては大きく△疫学調査システム、△海外流入検査、△キャンペーン進行、△治療製と予防ワクチン研究開発などがある。

■透明かつ迅速な疫学調査システム

まず、疾病管理本部は疫学調査の結果を透明に毎日発表し、更に詳細な移動経路などの情報は該当区役所が運営するサイトを通じて誰でも確認できるようにする。そして26日に疾病管理本部は「新型コロナウイルス感染症疫学調査支援システム」を正式に運営すると明らかにした。本システムは疫学調査の手続きを自動化して感染者面接調査結果を補完し、ビッグデータのリアルタイム分析を可能にする。結果的に感染者の移動動線と時間帯別滞在ポイントを自動に把握できるようになり、大規模な流行地域を分析して地域内の感染源の把握など様々な統計分析も可能になったのだ。

■強化された海外流入検査

最近になって海外流入患者の割合が高くなっているため、疾病管理本部は入国段階での検疫をさらに徹底して進めている。3月22日からヨーロッパ発のすべての入国者に対して診断テストを行い、27日からは米国発の入国者に対する検疫を強化すると発表した。これは米国内の新型コロナウイルス感染者が急増しており、国内の米国発入国者のうち感染者発生が増加することによる措置だと説明した。

すべての海外入国者はまず保健福祉部の「モバイル自己診断」アプリをダウンロードした後、状態を提出しなければならない。有症状者は内・外国人を問わず空港検疫所での診断検査をすることになる。そして無症候者は14日間自己隔離に入り、行政安全部の「自己隔離者安全保護」アプリをダウンロードして疑心症状診断と位置確認を通じた生活規則遵守など管轄地方自治体で集中管理を受けることになる。このように疾病管理本部は自己隔離者に対する管理まで逃さず確実に進行している。

▲韓国疾病管理本部はポスターで国民にわかりやすく予防規則を伝えている(出典:疾病管理本部)

■大々的なキャンペーン進行

疾病管理本部は2月末から「社会的距離置き(Social Distancing)」キャンペーンを大々的に広告した。このキャンペーンは、まず流れる水で石鹸で手洗い、服の袖で口と鼻を隠して咳をする、外出時にマスク着用など基本予防規則を守ることが最も基本に勧告され、多くの人が集まるイベントや集まりに参加自制、外出自制、在宅勤務拡大なども含めている。3月22日から疾病管理本部は全世界的に流行が広がりながら、4月5日まで15日間のより強化された「社会的距離置き」の実践を要請した。

しかし、「社会的距離置き」の実践で周辺人との関係が断絶されると憂鬱感や疎外感などの心理的な問題が生じる可能性が大きくなるため、心理的防疫のためのキャンペーンの一環として疾病管理本部は、3月9日から韓国心理学会新型コロナウイルス特別対策委員会と一緒に専門心理相談を無料で実施していると明らかにした。本キャンペーンでは学会公認の心理相談専攻教授及び1級心理相談専門家の230人余りが自発的に参加して高い市民意識を見せてくれた。

■治療と予防ワクチンの研究開発

26日、疾病管理本部は国内企業と協力して新型コロナウイルス抗体治療剤と予防ワクチンを開発すると発表した。新型コロナウイルス完治者血液の抗体を介して得られるモノクローナル抗体治療薬の開発は(株)セルトリオンと協力し、合成抗原(サブユニット)技術を利用した予防ワクチンの開発はSKバイオサイエンス(株)と推進すると説明した。今回の研究を通じて候補物質の開発と効能評価などが行われ、効能が実証された候補物質が選別されると非臨床・臨床試験も支援する予定だと付け加えた。

これは疾病管理本部と国内企業と優れた技術力があったこそ可能なことである。3月10日に疾病管理本部国立保健研究院は、血液の中で新型コロナウイルス抗体を探知するタンパク質(別名 'probe')の製作に成功し、これまでに治療薬の開発に必要な免疫蛍光検査法(Immunofluorescence Assay(IFA))も確立したところがある。

▲20日基準、全世界の新型コロナウイルス感染症の診断数現況(出典:Our World in Data)

■優れた韓国型診断キット

疾病管理本部を中心とした新型コロナウイルス防疫は、これを裏付ける国内企業の技術力と自治体の努力、市民意識などがなかったら成功しないだろう。韓国型診断キットは▲迅速な検査構築▲全国的検査システムの構築▲行政手続きの簡素化という三拍子が同時に合致したという点で優れているという評価を受けている。そして新たに研究された「リアルタイム遺伝子増幅検査(RT-PCR)」検査法を介して新型コロナウイルスの感染可否は6時間以内の診断が可能となった。26日の基準で1日平均2万件程度の検査が行われており、累積合計は計34万件が行われた。

新型コロナウイルスの検査のため食品医薬品安全処から社手続きを大幅に簡素化した緊急使用承認を受けた診断キット製品会社はコジーンバイオテック(Kogene Biotech)、シージェン(Seegene)、ソルジェント(SolGent)、エスディーバイオセンサー(SD Biosensor)、バイオセウム(Biosewoom)など5つの会社である。このうち98%の正確度と大容量を誇るシージェンの診断キットは、最近トランプ大統領の要請で米国に輸出して使用されている。この他にもジーンマトリックス、ラボジェノミック( LabGenomics )などの国内製薬・バイオ企業は診断キットを輸出もしくは準備を終えた状態である。これに世界的に韓国の診断キットを輸入しようとするラブコールが次々と続いている。

■乗車検診(ドライブスルー)選別診療所

診断過程での感染を軽減させようと高陽市から先月初めて運営し始めたドライブスルー(Drive-through)方式の「高揚安心カー選別診療所」システムは、国内はもちろん世界の主要メディアに紹介されながら革新的だという好評を受けた。現在は全国的に各自治体で掲示され運営されており、最近米国を中心に「ドライブスルー新型コロナウイルス選別診療所」が設置される傾向にある。

診療申請、診断、そして収納まですべて車の中で解決が可能であり、検査結果は3日前後で受けることができる。ドライブスルー選別診療所は患者が行き来するたびに診療室を消毒する必要があって最大1時間以上の時間がかかっていた従来の検査と異なり、検体採取に10分もかからないという大きな利点がある。3月25日基準、全国的に79カ所の選別診療所から乗車検診が可能である。

▲新型コロナウイルスを克服するための成熟した市民意識が見られる(出典:新型コロナウイルス国民危険認識調査)

■高い市民意識

また、成熟した市民意識は国内新型コロナウイルス克服に一歩近づくことができるように手伝ってくれる。ソウル大保健大学院ユ・ミョンスン教授チームが実施した全国の成人男女1千人を対象にしたアンケート調査によると、国民は「個人衛生規則遵守」や「社会的距離置き」などの生活防疫をよく実践しており、国民自らが「防疫の主体」という考えに持って新型コロナウイルス拡散防止に最善を尽くしていることが分かった。

それだけでなく新型コロナウイルス克服のため全国で約16万人のボランティアが消毒と消毒、隔離者支援、物品配付などさまざまな活動に参加していることが分かった。2月末、大邱と慶北地域で集団患者数が急激に増えて医師スタッフ陣数が足りなかったときは、800人の医療スタッフがボランティアに参加し高い市民意識を見せた。そして多くの国民が新型コロナウイルスを克服するため寄付に参加している。

このように国内での新型コロナウイルス防疫への努力は多くの場所から行われているため、「安定した状態」に入っているものと判断される。しかし、4月に入っては小中高学生の開学と多くの企業の在宅勤務期間が終わり、集団感染の可能性を無視することはできない。完全終息した後、ワクチンと治療薬の開発が完了されるまでは、安心することができないため現在のような市民と政府の努力が続けて必要である。


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