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パナソニック、ウェビナーにて「幸福のためのロボット工学」を提案

記事公開日時 : April 10, 2020, 5:17 pm
ACROFAN=辛 承羲 | seunghee.shin@acrofan.com | SNS
▲「幸福のためのロボット工学」テーマのパナソニックのパネルセッションでは、SXSW 2020キャンセルによりウェビナーで行われた。 (出典:パナソニックホームページ)

3月13日から22日までテキサス州のオースティンで開催される予定だった南米最大のコンテンツフェスティバル「SXSW 2020(サウス・バイ・サウスウエスト2020)」が新型コロナウイルスによりキャンセルされた。しかし、すべてがデジタル化される時代であるだけに、SXSW 2020で開催予定だったパナソニックが主催する「幸福のためのロボット工学(Robotics for Well-being)」パネルセッションは、4月9日午前に映像会議サービスのズームを通じてウェビナー( Web + Seminar)で行われた。

このウェビナーではパナソニックの増強ラボ責任者の安藤健(Takeshi Ando)、Entertainment AI代表のアン・グリーンバーグ(Ann Greenberg)、EarthTech International Inc.代表のハロルド・パソフ(Harold E. Puthoff)が講演者として参加した。

各講演者は技術を通じてビジネス、科学、エンターテイメントがどのように互いに結合して新しいソリューションを創出し、人類の生活をより幸せにすることができるかの意見を述べた。人間中心のストーリーテリングと技術的なソリューションを通して現実を理解し、経験を豊かにすることができる方法を探すことについて議論した。また、人工知能、ロボットと人間補助装置がどのように身体的、感情的、社会的次元で幸せをもたらすことができるかについて発表した。

▲パナソニックの増強ラボ責任者の安藤健(Takeshi Ando)

▲赤ちゃんがいる家庭のためのベビーパパ(Babypapa)(出典:パナソニックのホームページ)

安藤健が属しているパナソニック増強ラボ(Aug Lab)はロボット工学部門で、人工知能や技術などを利用して生活の質を向上させることができる方案について研究をしていると紹介された。彼はまず、「トマト自動収穫ロボット」と病院などで安全に障害物を避けながら物事を伝えてくれる「配達ロボット」に言及し、自動化(automation)を介して生産性と効率性の向上が可能であると説明した。そして2010年に早稲田大学から行われた本人の研究の中で「脳性麻痺患者のための車いす」は、患者と患者家族に幸福をもたらしたと述べた。

安藤健は日本とアメリカのGDPと生活満足度のグラフを紹介しながら、GDPは引き続き上がっているが、人々の生活に対する満足度はそのままであるかより落ちており、これは日本の問題だけではなく世界的な問題であると述べた。彼は「ロボットによる自動化を通じた増強(augmentation)が必要だ」と述べ、パナソニック増強ラボで話をする「増強」は、人生をより豊かにして幸せを加えようとする努力だと説明した。また、幸福は身体的、感情的、社会的次元での努力が必要だと付け加えた。

彼はこれらのすべての次元での幸せを加えてくれることができる「ベビーパパ(Babypapa)」プロジェクトを紹介した。 「ベビーパパ」は赤ちゃんがいる家庭のために開発されたロボットで、一人でいる赤ちゃんが退屈しないように楽しくしてくれて、表情を観察し最もきれいで貴重な瞬間を写真に込めて、社会的経験を向上させることができるように助けてくれる。また、コミュニケーションを強制せずに長く着実に感情的な交感を感じるようにすると説明した。1体だけを使ってもいいが、3体を使うと互いに連携してより良いシナジーを出すこともあると付け加えた。

このように安藤健は「パナソニック増強ラボでは700個以上のアイデアが出てきており、約20個のプロジェクトが進行中である。パナソニックは社会的な幸せだけでなく、一人一人の幸せのために努力している。最近新型コロナウイルスにより家に孤立されているみんなが身体的、精神的に衰弱した状態にあるため、人工知能、5G、ロボットなどの新しい技術の発展が必要なときである。」と伝えた。

▲Entertainment AI代表のアン・グリーンバーグ(Ann Greenberg)

▲先端技術社会を目指す「アンノニマーズ(Ann Nonymous)」プロジェクト

メディアの民主化を発展させたデジタルメディアの先駆者であるアン・グリーンバーグは、まず自分の会社であるEntertainment AI(またはSceneplay Inc.)について紹介した。 Entertainment AIはスマートコンテンツ会社で、メディア生成の自動化により誰もが自分が望むコンテンツに登場することを可能にし、共同参加者のみんながお金をもらえるようにブロックチェーン技術を活用している。メディア生成自動化にはスマートスクリプト(Smart Script)技術が使用されるが、これはコンテンツを微細化した後、暗号化されたデータに変換し、ユーザーのニーズに応じてカスタマイズコンテンツを作ることができるスマートコンテンツ(Smart Content)を生成するツールだと説明した。

彼女は「超個人化(hyper-personalization)」と「人間中心のストーリーテリング(human-centered storytelling)」を強調した。超個人化はEntertainment AIが提供するスマートコンテンツを通じて実現することができ、ライブアクション、アニメーション、人形劇、ロボットなどに至るまでどんなメディアでもユーザーが誰なのか、何をしたいかに応じて変化するものだと説明した。そして人間中心のストーリーテリングについて「Entertainment AIの究極的な目標とも相応する。我らはみんな自分たちの生活での話の中で主人公であり、誰でもクリエイターになることができる」と述べた。

アン・グリーンバーグは現在、自社で研究している「アンノニマーズ(Ann Nonymous)」プロジェクトを紹介した。 「アンノニマース」プロジェクトはEntertainment AIの「ビッグシスター(Big Sister)」プラットフォームに基づいた世界初の相互参加型の仮想人間及びインフルアンサーだと説明した。「ビッグシスター」プラットフォームは、英国の小説家であるジョージ・オーウェルの小説「1984年」からでた用語「ビッグブラザー」と相反する意味があり、人間の心で先端技術の未来を志向するプロジェクトであると述べていた。

発表のまとめに彼女は「技術は新型コロナウイルスにより生じる社会的距離やコミュニケーションへの限界を克服できるように助けてくれる。共同創造の時代が近づいてきただけに、人間が作り出すことができる様々な創造性とロボットが共に調和をなせば、さらに発展した技術の社会を創造することができるだろう。」と伝えた。

▲EarthTech International Inc.代表のハロルド・パソフ(Harold E. Puthoff)

▲「トゥ・ザ・スターズ・アカデミー(To The Stars Academy)」は社会的幸せを向上させるため多くの研究をしている。 (出典:TTSAホームページ)

EarthTech International Inc.代表でカリフォルニアスタンフォード研究所の物理学者であるハロルド・パソフは自分自身を「いつも生物学、物理学そして技術の交差点で、多くの人が苦しんでいる不可能な問題や課題について解決策を探している」と紹介した。彼はまず真空の養子論的効果により発生するカシミール効果(Casimir Effect)を例に挙げ、「カシミール力」のような潜在力を持つある新たなエネルギー源泉は、人間と自然が調和をなすように助けるマイクロ装置に動力を供給することができると説明した。

また、ハロルド・パソフは量子物理学の理論を介して説明できる技術として「安全なコミュニケーション」を挙げた。現在我々がWi-Fiやラジオなどで使用している電磁場は地形的要素、プラズマなどの影響を受けるが、量子物理学の「電磁気ポテンシャル」は電磁波遮蔽さえも障壁にならないと説明した。このように新しい形のコミュニケーションは私たちの生活に安定を与えることができると述べた。

そして彼は先立って言及したマイクロ装置の例として、スタンフォード大学で開発された「脳-機械インターフェース(Brain-Machine Interface、BMI)」を紹介した。本インタフェースは神経情報をコンピュータやロボットアームなどの外部ソフトウェアとハードウェアを制御することができる命令語に変換する装置である。これハロルド・パソフは「脳波や神経のエネルギーを理解して操作すると感情的、物理的、そして社会的幸福を向上することができる」と伝えた。

最後に彼は自分が共同創設者でもある米国の民間科学研究所「トゥ・ザ・スターズ・アカデミー(To The Stars Academy、以下TTSA)」に言及し、さらに進歩した社会を作って新しい道を切り開いていくために多くの科学者が努力していると明らかにした。TTSAは変則的なデータを集めて研究し、研究結果に関連する技術を開発することに焦点を置いている。そしてTTSAのエンターテインメント部門では、複雑で難しい理論や技術を簡単で楽しい話で解いて人々に伝えることを目的としていると付け加えた。


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