基礎的な生理学的状態をモニタリングが必要となる際、バイオセンサーは他の既存の診断技術と比較して利便性が高く低コストのソリューションを提供できます。そのため、医療費による国家財政への逼迫が大きな問題となる中、バイタルサインや新陳代謝のモニタリング、バイオマーカーの検出、病気診断などにおけるバイオセンサー技術の活用に大きな期待が寄せられています。
しかしながら、先端技術調査を専門とする米調査会社ラックスリサーチは、バイオセンサーがコンシューマー向けヘルス・ウェルネス分野においてより広く普及するためには、精密性 (precision)、正確性 (accuracy)、商業化や導入において多くの課題を克服する必要があると指摘しています。
ラックスリサーチの新しい報告書、『Emerging Biosensor Technologies: Landscape and Market Forecast(先端バイオセンサー技術:主要動向と市場予測)』は、バイオセンサー技術における主要なイノベーションを概説し、技術開発の今後の展開、克服すべき課題や事業機会について取り上げています。本報告書でラックスリサーチはコンシューマーの日常生活に大きな影響を与える健康状態として、心血管疾患、糖尿病、ストレス管理、脱水症状、睡眠障害の5分野を特定し、これら分野における診断、モニタリング、予防に向けたバイオセンサーの活用機会をまとめています。
上記の5分野ではすでに積極的かつ継続的なモニタリングソリューションが利用可能ですが、ソリューション開発を必要とするギャップが残っているとラックスリサーチは指摘しています。既存のテストおよび診断技術は、長期的またはオンデマンドのモニタリング用途としては、高価で、機械も大きく、快適ではない場合が多いのが現状ですが、それとは対照的に、バイオセンシング能力を搭載したウェアラブルは利便性が高く、ユーザーが継続的に健康管理に有益な情報を入手することを可能にします。
ラックスリサーチのアナリストで本報告書を担当したLisheng Gao, Ph.D.は次のようにコメントしています。
「医療費の高騰により、病気は身体・心理的な負担だけではなく、経済的な負担にもなりえます。また、多くの慢性疾患に悩む人が増加することは、すでに過負荷になっている医療システムにより多くの圧力を与えることにつながります。そのような中、コンシューマーを中心とした医療を可能とするようなソリューションや技術には、今後大きな事業機会が生まれます。健康状態のモニタリングの重要性が認識されるにつれ、ウェアラブルバイオセンサー機器市場は、有利な規制や保険制度に後押しされる形で、今後急速に拡大するでしょう。2030年時点では、前出の5つの分野における健康管理を対象としたバイオセンサー機器市場は、ヨーロッパ、アジア太平洋、北米を合計すると約250億ドルとなり、年平均成長率は23%となるとラックスリサーチは予測しています。」
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