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クアルコムの次世代GPUおよびISPメディアブリーフィング

記事公開日時 : August 13, 2015, 12:13 pm
ACROFAN=權 容滿 | yongman.kwon@acrofan.com | SNS
クアルコム(Qualcomm)Incorporatedの子会社クアルコムテクノロジー (Qualcomm Technologies Inc.)は、米国西部時間あたり8月11日、米国ロサンゼルスのLAコンベンションセンターで開催されたシーグラフ(SIGGRAPH)2015現場で次世代スナップドラゴン(Snapdragon)プロセッサに搭載される次世代GPUとISPに適用される技術を紹介するメディアブリーフィングイベントを開催した。

クアルコムの次世代スナップドラゴンプロセッサであるスナップドラゴン820プロセッサには、クライオ(Kryo)アーキテクチャベースのプロセッサコアとLPDDR4メモリサブシステム、そして新しいクアルコムアドレノ530 GPUが採用される予定である。

アドレノ530 GPUは、前世代に比べ性能と電力効率を大幅に引き上げ、前世代の性能比40%向上、同じワークロードでは、消費電力の40%削減を達成したと紹介し、4K環境のサポート、最新のAPIのサポートと一緒に強化されたメモリ圧縮技術などが適用されたと付け加えた。

スナップドラゴン820商品に搭載される新しい14ビットクアルコムスペクトラ(Qualcomm Spectra)ISP (Image Signal Processing unit)が一緒に搭載されている。新しいスペクトラISPは14ビット、デュアルISP構造で最大3台のカメラをサポート、最大25MPピクセルデータを毎秒30フレームまでリアルタイム処理することができる性能を提供する。また、ハイブリッドAFフレームワークと一緒に様々なセンサと結合して、次世代の高品質の写真環境をサポートしており、画像のストリーミングのDSPに直接転送と前処理をサポートにマシンラーニングなどの活用が期待される。

 
▲ Tim Leland クアルコムテクノロジー製品担当副社長

シーグラフ2015に参加した各国のメディアを対象にした今回のメディアラウンドテーブルは、Tim Leland クアルコムテクノロジー製品担当副社長が進行した。

彼はまず、スナップドラゴン820は最高のビジュアルとサウンドの品質、ユーザー体験を提供しようとしており、スナップドラゴン820の主要なビルディングブロックのビジュアル関連ユニットは、アドレノ530 GPU、DPU、VPUとスペクトラISPが該当すると紹介した。また、今DPUとVPUもアドレノブランディングに統合されて提示すると付け加えた。

スナップドラゴン820のビジュアル・プロセッシングが追求する目標は、大きく5つの方法が挙げられた。一番最初に選ばれたのは、低照度などの悪条件にも優れた性能と画質を得ることができる写真やビデオ撮影機能である。また、自然で、コンテンツ作成者が意図したとおり示すことができる正確な色の出力と補正技術、モバイルゲームなどのためのゲームコンソール級の高い性能と滑らかなUIのパフォーマンスなどを通じた、優れたユーザー体験、次世代演算環境とビジュアルユーザ経験の提供などが紹介された。

新しいアドレノ530は、Unreal Engine 4と一緒に使用してモバイル・プラットフォームでも実写レベルのイメージを実装することができる機能と性能を提供する。新しいGPUの中で最高の評価をされているアドレノ530は、モバイルUIとゲーム、VRなどのアプリケーションに最適化されており、従来のアドレノ430に比べ40%以上の性能向上と消費電力効率の改善を提供する予定である。また、最新のAPIのサポートと一緒に、64ビットの仮想番地指定などを支援してOpenCL 2.0などで、効率的な異種演算環境を提供する。

 
▲アドレノ530の特徴は、高性能、低消費電力、高効率

アドレノ530は、パフォーマンスの向上と電力効率の向上のために大きな幅のアーキテクチャの変更があったと紹介された。これにより、既存のスナップドラゴン810とアドレノ430性能比は40%以上向上されながらも、同じワークロードレベルでは、40%程度の消費電力低減が可能になったという内部テストの結果を提示した。また、GPGPU性能も従来比線形代数演算性能は40%向上し、ビデオ処理性能はアルゴリズムに基づいて2.5倍の性能向上もあったと紹介した。

また、OpenGL ED 3.1 + AEP(Android Extension Pack)、レンダリングスクリプト(Renderscript)、OpenCL 2.0およびボルカン(Vulkan)標準などを含むグラフィックスと演算APIをサポートしており、ボルカンサポートに基づいてドライバのオーバーヘッドを最小限に抑えて、モバイルおよびEmbeddedプラットフォームでマルチスレッド(multi-threaded)性能の実現が可能である。そしてOpenCL 2.0では、64ビットの仮想番地サポートと共有仮想メモリのサポートを介してプロセッサとGPUの効率的なコプロセッシングが可能な異種コンピューティング環境を提供することができる。

これとともに、独立したGPUパワーマネージャを介してより洗練された電力制御を提供し、新しいレンダリング、コンポジション、および圧縮機能を使用して、より少ないメモリ使用と低消費電力で高性能支援を可能にした。スナップドラゴン820でメモリとGPUは、一般的に2:1の圧縮伝送が、DPUなどは3:1の圧縮転送が使用され、これは従来比でも50%ほど効率が改善されたと紹介した。また、目に見えない部分をレンダリングから除外するなどの技術を積極的に活用していると付け加えた。

この他にもSoC部で強化された重要な特徴としては、SoC次元のQoSのサポートが導入された。スナップドラゴン820は、継続的な処理性能を確保する必要があるアプリケーションの効果的な駆動のために、特定のワークロードなどのシステム・リソースとパフォーマンスのQoS設定が可能なものと説明した。これは、様々なアプリケーションが搭載されている状況で、特定のアプリケーションに処理優先順位を付与することができるようにして、リアルタイム・アプリケーションの処理が必要な分野で効果的な活用が可能になると期待される。

 
▲強化された画像補正技術を提供するスペクトラISP

スペクトラISPは、スマートフォンが付いている小さいサイズのセンサーと劣悪なレンズなどの撮影写真や映像のノイズなど品質上の問題を克服することができるようにSoCレベルでの色、ノイズ処理をサポートする。また、写真を現在のスマートフォンが使用する高度なディスプレイに出力するためにも色補正を適用すると、写真を撮った実際のターゲットとディスプレイ出力結果の違いを克服することができるようしたいと紹介した。

スペクトラISPは、最新のスマートフォンのための1u級ピクセルサイズの高画素センサーのデモザイク処理、新しいハードウェアベースのノイズ除去と色補正機能をサポートする。デュアルISP構造で最大3台のカメラの構成と最大25メガピクセルのデータを毎秒30フレームまでリアルタイム処理することができる。これと共にAFシステムサポートでは、位相差とコントラスト、レーザー方式AFをサポートしており、ハイブリッドの形で、このうち二つ以上の技術を同時に適用することができるようにしてAF性能を高めた。

これと共に先端圧縮技術と最新のMIPIシリアルC-PHYインターフェースをベースにした高データ転送速度を提供し、処理前の画像データのストリーミングのDSPに直接転送およびハードウェアベースの前処理機能を使用して、次世代のコンピュータビジョンなど、さまざまな適用が可能であると紹介した。この他にもISPとGPUを使用する光学ズームのサポートにより、スムーズに3〜7倍程度の高品質ズームを実装できるようにしたと付け加えた。

このようなハードウェアの機能は、様々な形の活用が可能である。二つの異なる深度のカメラを組み合わせている場合は深さマップを用いたリフォーカス機能を実装することができる。また、夜景など低照度環境での撮影では、必要な部分だけを選択的に明るさを調節することによって、明るさ調節から来る暗部でのノイズ発生などを抑制して、迅速かつ効果的に優れた画像品質を得ることができると付け加えた。

 
▲HDMI 2.0、ミラキャスト2.0を介して有線および無線の両方4K出力可能

ディスプレイのサポート面では、アドレノ530はHDMI 2.0を通じた4K 60fps環境のサポートが可能であり、ミラキャスト2.0規格を活用して、最大4K 30fpsのワイヤレスディスプレイのサポートが可能になると紹介された。また、ミラキャスト2.0を通じた4Kワイヤレスディスプレイサポートの場合、スナップドラゴン820採用端末が最初になると予想して、2016年上半期に820を採用端末が登場すれば、それ以降のミラキャスト2.0規格に対応したTVやレシーバーを介してこれを活用することができると予想した。

メディアサポートの面では、HDMI 2.0を介してRec. 2020超高解像度UHDディスプレイ、TVに最大60fps 4K HEVCビデオ出力をサポートと紹介されており、内部的には、帯域幅と消費電力削減のためDSC 1.1とUBWCを通じた圧縮転送を活用する。また、改良されたクアルコムのエコフィックス(Qualcomm EcoPix)とクアルコムトゥルーパレット(Qualcomm TruPalette)サポートで、さらに長持ちするバッテリーと優れたメディアの再生品質を提供すると付け加えた。

スナップドラゴン820に含まれる興味深い機能では、タッチスクリーンでのユーザー体験を向上させるための「ImproveTouch」技術が選ばれた。 SoCに内蔵されているこの技術は、タッチスクリーンが濡れている状態でも、ウォーターリジェクション機能とマルチフィンガートラッキングをサポートしており、タッチ反応性と正確性を高め、ユーザーの利便性を向上させることができる。また、この機能を使用して、パッシブスタイラスやグローブタッチ機能などを実装することができ、機能の実装にかかるコストと時間を大幅に減らすことができると付け加えた。

一方、新しいアーキテクチャをベースのアドレノ530とアドレノ510製品は間もなくリリースされる予定のスナップドラゴン820とスナップドラゴン620/618に装着される予定である。そしてアドレノ530は4Kディスプレイとメディア環境をサポートしますが、510はQHDレベルの環境を提供する予定だと紹介した。また、スナップドラゴン820を搭載したデバイスは、2016年前半に市場に投入することができると予想されると付け加えた。

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