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ラックスリサーチ、産業部門の脱炭素化技術を評価するためのフレームワークを取り上げたレポートを発表

記事公開日時 : September 30, 2021, 11:36 am
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産業部門は世界のCO2排出量の21%を占めており、主にセメント、製鋼、化学工業部門からの排出によって、年間9ギガトン以上のCO2を排出しています。セメント、製鋼、化学工業を脱炭素化することのみで、世界の産業排出量は半分まで削減することが可能となります。ただし、これら産業は長期的に成長し続けることが予測されており、増加する製品需要を満たしつつも、いかにカーボンニュートラリティを達成することができるか、という点が、産業部門における脱炭素化の大きな課題です。

産業部門において脱炭素化へ向けたロードマップを確立するためには、世界的な競争が増す中、現在そして将来的に利用可能な技術を深く理解し、より厳しくなる規制にも適切に対応すべく準備を行うことが必要となります。

そこで、ラックスリサーチの新しい報告書、『Decarbonization of Industry: The Path Toward Carbon Neutrality(産業部門の脱炭素化:カーボンニュートラリティへの道のり)』は、産業部門における脱炭素化技術を評価するための枠組みを紹介しました。

脱炭素技術は、導入の複雑さという観点から、3つのレベルに分類することができます。

当座しのぎの技術(Makeshift technologies):これら技術は産業プロセスの主要段階を変更することなく排出量の削減に貢献します。これらは、効率面におけるギャップ、原料の炭素集約度、またはプロセスの最後に放出される廃棄物への対応による脱炭素化を目指すものであり、工業プロセスのコア技術および基本は変わりません。

後付け(レトロフィット)技術(Retrofit technologies):これら技術は、産業プロセスの一つまたは複数の主要段階を変更することで排出量を削減します。これらは、既存のプロセスフロー内に収まる新しい低炭素バリアントをコアプロセスユニットに追加したり入れ替えたりすることで脱炭素化を目指します。ただし工業プロセスの基本は変わりません。

変革技術(Transformational technologies):これら技術は、産業プロセスの根本を変えることで排出量を削減します。これらの技術は、既存の主要なプロセスユニットを排除し、既存の産業プロセスフローを完全に変換することによって脱炭素化を目指します。これらは、主に、熱化学プラットフォームを生化学または電気化学プラットフォームに置き換えることになります。

ラックスリサーチのシニアアナリスト、Runeel Daliahは次のように説明しています。

『これらの3つのレベルの技術は、産業の脱炭素化の構成要素です。産業の脱炭素化は、あたかも単一の概念であるかのように取り上げられることが多いのが現状ですが、産業部門の課題の全てに対応可能な唯一の解決策というものは存在しません。産業部門の脱炭素化は、特定の産業およびそのコアプロセスに特有の、多様な技術それぞれに適用することによって実現されます。

ただし、産業部門の脱炭素化は複雑です。産業プラントは、しばしば数十億ドルにも及ぶ高額の投資を必要とし、数十年をかけて建設されてきました。2050年までにカーボンニュートラリティ達成を目指す企業は、過去3世紀にわたって依存してきた熱化学プラットフォームから、わずか30年の間で、変革技術を活用し、脱炭素を達成する必要があります。

さらに、産業部門の脱炭素化は、工業製品における競争上の懸念をもたらします。コンシューマー側で低炭素製品の採用を促進する規制がなければ、脱炭素化は地域レベルや世界レベルで産業界の競争力を低下させる可能性があります。化石を基盤とした製造に対する経済的ペナルティは、産業の脱炭素化を支援するには不十分です。世界的に産業部門がカーボンニュートラリティへと移行するためには、各国において低炭素製品の輸入や消費に対するインセンティブを導入することが必要となります。』

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