精神障害のほとんどが25歳に達する前の幼少期、青少年期に発症し、障害を持つ若者の生きてきた年数のうち精神障害や物質使用障害が4分の1を占めることが調査で明らかになりました。
この喫緊の課題に対処し、国際的な行動を喚起するため、国際児童青年精神医学会(IACAPAP: International Association for Child and Adolescent Psychiatry and Allied Professions)、国際思春期青年期精神医学・心理学会(ISAPP: International Society for Adolescent Psychiatry and Psychology)、世界乳幼児精神保健学会(WAIMH: World Association for Infant Mental Health)、世界精神医学会児童青年精神医学部会(WPA-CAP: World Psychiatric Association Child and Adolescent Psychiatry)は共同で、4月23日を世界乳幼児・児童青年メンタルヘルスの日(WICAMHD: World Infant, Child and Adolescent Mental Health Day)に定めています。
2年目となる今年のWICAMHDでは「Stand Against Infant, Child and Adolescent Trauma(乳幼児、児童、青少年のトラウマに立ち向かう)」をテーマにイベントが開催されました。
児童および青少年は世界人口の3分の1を占めます。児童期・思春期は成長、学習、のびのびとした探求のための重要な時期です。しかし、世界の多くの子どもたちがトラウマや危機を抱えており、そのネガティブな体験が心身の健康に長期的な悪影響を及ぼすことが調査でも示されています。
また、女子の15〜43パーセント、男子の14〜43パーセントに1回以上のトラウマ体験があることも分かっています。
逆境的小児期体験(ACE: Adverse Childhood Experiences)も成人になってから精神障害を発症する要因です。その間接的で複合的な影響は、特に医療面や生産性低下など社会的な経済負担の拡大につながっています。
戦争地域や自然災害の被災地の子どもたちは特に大きな影響を受けます。第2回WICAMHDのイベントでは、3名の著名な専門家を招き、小児期のトラウマについて講演を行いました。
児童青年精神科指導医でキングス・カレッジ・ロンドン精神医学研究所児童青年精神医学・グローバルメンタルヘルス部門のDennis Ougrin研究員は、ウクライナの戦争の影響について講演しました。
ハジェテペ大学医学部(トルコ、アンカラ)の児童青年精神医学科のFusun Cetin Cuhadaroglu教授は、先日のトルコ地震のトラウマ的な影響について発表しました。
最後に、米国子ども連盟(National Children's Alliance)のメンタルヘルスプログラム責任者のMichelle Miller博士が、トラウマを受けた子どもに対する科学的根拠に基づく対応について話しました。その後、パネルディスカッションが行われました。
メインイベントの他、WICAMHDに合わせ、各国の団体によるイベントや啓発活動が実施されました。参加した団体は次のとおりです。
インド児童青年メンタルヘルス協会(IACAM: Indian Association for Child and Adolescent Mental Health)、リトアニア児童青年精神医学会(LVPPD: Lithuanian Society of Child and Adolescent Psychiatry)、米国児童青年精神医学会(AACAP: American Academy of Child and Adolescent Psychiatry)、オーストリア児童青年精神医学・心身医学・心理療法学会(ASCAP: Austrian Society of Child and Adolescent Psychiatry, Psychosomatics and Psychotherapy)、シンガポール医学アカデミー精神医学部児童青年精神医学科(SCAP: Section of Child and Adolescent Psychiatry, College of Psychiatrists, Academy of Medicine, Singapore)。
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