次世代のコネクターを実現する重要な要素
今回の業界レポートでモレックスは、小型コネクターを、ピッチ2.54mm以下のコネクターと定義し、さらに堅牢性については最も過酷な環境および機械的ストレスに耐える機能と定義しました。相互接続製品の堅牢化と小型化を同時に実現したことで、自動車業界、特に電気自動車 (EV)) とゾーンアーキテクチャに貢献する大きなイノベーションが可能になりました。今では、同様の小型化と堅牢化のトレンドは自動車以外の業界、たとえばコンシューマーエレクトロニクス (例: フィットネストラッカー、スマートウォッチ、スマートホーム家電) や、産業用オートメーション (例: 産業用ロボット、タッチスクリーン、センサー) さらには医療機器 (例: 内視鏡、インスリンポンプ、ウェアラブルヘルスモニター) の各業界にまで浸透しています。
コンパクトで耐久性に優れたコネクターの採用は、ほかの分野、例えばスマート農業の分野でも勢いを増しています。センサーと照明設備を高密度で設置する垂直農法の現場には、水分の多い高湿環境でも止まることなく機能する省スペースコネクターが必要です。より小型で軽量、堅牢なコネクターは、極端温度と過度の振動からの保護性能と、湿度や塵、腐食性薬品への曝露に対する耐久性が求められる、「空飛ぶトラクター」と呼ばれる農業用ドローンにも使用されています。
設計の限界を超える
モレックスの最新レポートには、設計および生産段階にある主な障害を取り除き、さらなる小型化と軽量化そして信頼性を実現するコネクター設計を促すための、ベストプラクティスに関する調査結果も掲載。アルミ合金および高剛性特殊鋼、さらには高性能ポリマー素材などを用いることで、卓越した耐久性と軽量構造が実現します。しかし、これらの素材を複雑なコネクター形状に加工するには、マイクロモールディングや高精度の機械加工、レーザー溶接、部分めっき等の特殊技術が求められます。
加えて、小フットプリントデバイスに対応すべく、狭ピッチ配列によりコンタクトの高密度化が可能となりましたが、これには高精度の生産および組立技術が要求されます。また同時に、クロストークと放熱効率の低下のリスクも伴います。このような問題を解消するには、最先端の信号ルーティングや遮蔽、絶縁手法と併せて、ヒートシンクやサーマルビアといった最新のサーマルマネジメント手法を用いることで対応します。モレックスの DuraClikコネクターは、過酷な車載環境に耐える、耐熱PBT素材を使用したハウジングと高い端子保持力を特徴としています。
Multi-Functional Terminal (マルチファンクションターミナル、MFT) は、電力伝送と信号伝送という複数の機能を1個のコネクターに統合した上でロック機構などの機械的特徴を付加し、コネクターの小型化技術の面で飛躍的な前進を果たしています。モレックスの最新レポートではこのほか、コンポーネントの信頼性を損なう上位環境要因と、過酷条件下でコネクターに確実に理想の性能を発揮させるための対策やソリューションも掲載しています。応力緩和機能とコンタクト設計によって、振動や衝撃、繰り返し抜去のストレスにさらされた場合でもコネクター性能を最適化することができます。
モレックスのグローバルリライアビリティラボでは、実際の使用環境における振動、温度変化、刺激性の薬品への曝露等のシミュレーションによる評価を実施しています。モレックスの Micro-Lock Plusコネクターは、振動環境における不意の脱落を防止し確実な嵌合状態を維持するという課題に、ポジティブロック機構で対応した製品です。このコネクターには金属のはんだタブを設け、はんだ接合部の応力緩和性能を一層強化することで、機械的応力と振動への抵抗力を高めています。
わずか1滴の水や1片の塵でも腐食や短絡の原因となり、最終的にデバイスの故障につながるため、水分や塵の浸入からの保護は不可欠です。モレックスのSqubaコネクターは、IP68防水等級に適合しており、深さ約1.5mの水に30分間浸漬しても防水性能を維持します。本製品は、電力伝送用としては現在、最も小型で最も耐久性に優れた製品です。
さまざまなデバイスの小型化と高機能化が進むなか、モレックスのエンジニアは多様なお客様のお困りごとを解決し期待を上回る製品とソリューションを提供すべく、小型化と堅牢化の限界に挑んでいます。
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