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NECと日本水産、AI・IoT技術を活用し養殖魚の体長測定自動化ソリューションを共同開発

記事公開日時 : April 24, 2018, 11:20 am
ACROFAN=金 炯根 | hyungkeun.kim@acrofan.com | SNS
NECは、日本水産株式会社(代表取締役 社長執行役員:的埜明世、以下 ニッスイ)との共創により、ニッスイが持つ養殖技術に関する専門的な知見と、NECの持つ先進のAI・IoT技術を活用し、ブリを対象とした養殖事業を効率化するソリューションを共同開発しました。

世界的には急激な人口増と食の多様化により、2030年には約3,000万トンの魚介類が不足する見通しで、この不足分は養殖生産物で補われることが想定されています(注1)。一方、現在の養殖業における適切な給餌量や漁獲高を推定するための魚の体長・体重測定は、直接網で掬い上げて測定したり、生簀内の撮影映像をコマ送りし測定対象魚の測定点を一尾毎手作業でプロットして測定しているなど、ICTによる測定業務の効率化が求められています。

本共創は2017年より取り組みを開始し、ニッスイのブリ養殖事業所・黒瀬水産株式会社(宮崎県串間市)において、魚の体長及び体重の自動分析にNECのAI技術を活用することで、生簀全体での成長状態の把握などの検証を行ってきました。

今回開発したソリューションでは、水中カメラで撮影した魚群の映像から、AI技術により測定対象魚を検出し、同時に測定点を自動的に抽出、その測定点に基づいて尾叉長(びさちょう、(注2))や体高(注3)を自動測定します。さらにこれらの値から、魚体重換算モデル式を用いた魚体重の算出が可能です。

非接触測定による正確な魚長・魚体重測定の価値提供に加え、測定作業の機械化・自動化により人手作業と同等以上(個人差なし)の処理を、作業時間を大幅に短縮して実現することにより、人は人が行うべき付加価値の高い業務に集中することができます。

なお本ソリューションは、NECが「魚長等測定自動化サービス(仮)」として対象魚種をマグロにも拡大し、2018年度下期よりクラウドサービスとして提供予定です。

1.養殖魚の体長測定作業の生産性を向上し、生簀全体の成長や分布を把握

ステレオカメラ(注4)により生簀内の養殖魚が撮影された映像をクラウドにアップロードすることで、NECの最先端のAI技術(機械学習)による分析で、自動的に養殖魚の体長・体重を算出します。これにより、人手を介さず生簀内の養殖魚全体の体長・体重の平均値や分布を把握することができるので、養殖魚測定工数を約1/6に削減しました。また測定可能な尾数も増え、人為的誤差(測定点のプロット位置のばらつき/長時間作業による集中力の低下)も排除でき測定精度も向上するなど、養殖魚測定作業の生産性向上を実現します。

2.非接触での体長測定を実現し、商品価値低下リスクの低減と省人化を実現

魚体と非接触で体長測定が可能なため、魚体を傷めず測定でき、ランダムに直接網ですくいサンプリングする従来の方式による斃死や魚病リスクも回避できるなど、養殖業の経営管理にも貢献します。また、従来体測値は育成中の魚の成長状態管理や給餌の質・量や頻度の調整などに活用されますが、その実作業が自動化・簡素化されることで、省人化や精度の向上などが期待できます。

ニッスイは、このたびの共同開発を通じて、養殖事業でのAI・IoTの活用により運営の評価指標の正確性が高まり、その測定の生産性向上が実現しました。ニッスイでは、今後ともAI・IoTの活用範囲を拡げながら、安全で安心、おいしい養殖魚のご提供につなげてまいります。

NECは、今後もAI・IoT技術をはじめとする先進ICTを活用し、水産事業のデジタルトランスフォーメーションを加速することで、水産業における新たな社会価値「共創」に貢献していきます。

(注1) 出典:'The State of World Fisheries and Aquaculture 2010(世界水産白書2010)(FAO, 2010)'

(注2) 上あごの先端から尾びれが二叉する中央部の凹みの外縁まで

(注3) 体の背縁から腹縁までの垂直方向の距離

(注4) 対象物を複数の異なる方向から同時に撮影することにより、その奥行き方向の情報も記録できるようにしたカメラ

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