今までのITインフラは仮想化とクラウド、ソフトウェア定義のデータセンター(SDDC)などの概念に至るまで継続的に変わってきた。しかしこれらのインフラ全般の変化にもネットワークアーキテクチャは伝統的な構成から大きく変わらず、新しいインフラへの変化に障害物として指摘を受けたりもした。また、「ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)」の概念は既存ネットワークのパラダイムを変える大きなきっかけになったが、相変わらず既存のネットワークOSとチップセットを使用することから来る限界も残っていたと指摘した。
これにDell EMCは既存のSDNから一歩さらに立ち開放型標準のハードウェアと自動化された管理ツール、さまざまなネットワークOSの選択権を提供する「オープンネットワーキング」戦略を強調した。そしてDell EMCは、「オープンネットワーキング」ベースのSDN実装のための3つの方向性の中で「OSソリューション」の側面に集中しており、LinuxベースのネットワークOSである「OS10」を中心に様々なOSの選択権や実装方式、アプリケーション形態の機能実装までもユーザーが選択できるようにしているという点が挙げられた。また、ハードウェアのポートフォリオでも全体のラインナップでこのような戦略を後押ししていると付け加えた。
▲Dell EMCのユン・ソクロ常務
Dell EMCのユン・ソクロ常務はITインフラの変化について1990年代後半には仮想化の概念が初めて登場し、2000年代には仮想化が普遍化されて、クラウドの概念が登場し、2010年以降にはクラウドが普遍化されて、インフラの構成概念が変わりながらサーバ、ストレージ、ネットワークにまで「ソフトウェア定義インフラ」の概念に変化してきたと紹介した。しかしこのような変化でも相変わらずネットワークの変化は少ないほうで、垂直形状のアーキテクチャと手動設定及び管理、ベンダー従属的構造などの保守的な構造を守ってきていると指摘した。
一方、ネットワークは「オープン」という面でも変化が大きくなかったと指摘した。このとのき「オープン」の意味は「公開」よりはユーザーの「選択」に重点を置く意味がもっと大きく、x86生態系の場合ユーザーがさまざまな運営体制の中で選択できるという点で「オープンアーキテクチャ」として評価される。また、「ソフトウェア中心」の側面は生態系での多様なアプリケーションの中から選択・決定が可能な環境を提供できるという点だと紹介された。しかしまだネットワークはベンダー従属的な形で、このような「オープン」の側面をしっかりと提供していなかったと付け加えた。
データセンターの変化に応じてネットワーキングのパラダイムは伝統的な垂直的構造から水平的拡張が可能な「Leaf&Spine」の形に変わり、その次には「ソフトウェア定義ネットワーク」が台頭された。SDNはネットワークのハードウェアとソフトウェア層を分離、どんなハードウェアを使っても制御・管理階層を統一してベンダーに関係なく単一の管理システムを備えるようにすることを目標にしたが、実際の実装例は少なかった。Dell EMCはその理由として「レガシーOSとチップセットをベースにした点」を挙げており、レガシーネットワークOSが占める割合が大きくて現実的に性能と機能の問題に直面したと紹介した。
▲「オープンネットワーキング」戦略は「ネットワークOS」の選択権の側面が目立つ
従来のSDN対比「オープンネットワーキング」が差別化されている点は、商用チップセットと標準のハードウェアデザインベースの機器でネットワークOSをユーザーが色んな専門OSの中で選択できるようにした点が挙げられ、これはインフラでサーバーの変化とも類似した姿だと紹介した。また、オープンネットワーキングベースのSDN戦略にはハードウェアとOSを分離し、LinuxベースのOSでインフラに緊密に結合されている「OSソリューション」の形、既存のオープンフローの発展型で複数の機器を一つの大型機器のように扱うことができるようする「コントローラソリューション」、物理ネットワークとは独立されソフトウェアベースでネットワークを仮想化する「オーバーレイソリューション」などがあると説明した。
この3つの戦略のうちDell EMCは「OSソリューション」の方に注目して核心力量をを確保しようとしていると明らかにした。これにDell EMCのネットワークポートフォリオは全ラインナップで「オープンネットワーキング」を支援し、DellのOS10だけでなくさまざまなネットワークOSを選択できるようにしていると紹介した。そしてホワイトボックスの製品と比較するときの「オープンネットワーキング」戦略の強みは、OS製造企業とのパートナーシップを通じて製品に付属された様々なOSの支援とアップデートを単一経路で提供するという点を強調した。
また、Dell EMCのオープンネットワーキング戦略はハードウェアとネットワークOSを分離することだけでなく、OSとアプリケーションの分離まで続くと紹介された。OSとアプリケーションの分離はDell EMCのネットワークOSである「OS10」で実装されており、オープンソースベースのOS上のさまざまな機能をアプリケーショの形で実装できるようにして商用SDN OSでも出てくることができる「ベンダー従属性」の側面を完全に削除しオープン生態系を志向、サポートしている。
▲「OS10」はLinuxベースでOSと機能の分離まで実装した
▲OS1010.4の登場は「機能の完成」を意味することもある
Dell EMCの「オープンネットワーキング」の戦略で重要な位置にある「OS10」はDebian系のLinuxをベースとし、カーネルを変形なくそのまま活用していると紹介された。OS10のオープンパッケージはベース、OCPスイッチ抽象化インタフェース、コントロールプレーンサービス(CPS)程度を含み、「エンタープライズパッケージ」はオープンパッケージベースでのデータセンターのための様々なネットワーク機能と管理道具を含む。そしてネットワークインフラをLinuxベースに実装し、インフラ全体を大きなLinuxのスタックに扱うようにし、大きな意味での大企業が使用するSDDCの概念を完成することができるよう支援したいと付け加えた。
Dell EMCのネットワーキングポートフォリオはデータセンターとオープンネットワーキングに集中するという方向性がより鮮明になり、OS10はすぐリリースする予定のエンタープライズエディション10.4でデータセンターに必要な様々な機能を完全にサポートできると期待しており、オープンフローのサポートを含んでいて様々なSDN環境を受容可能だと説明した。また、ハードウェアの面ではすべての製品群で「オープンネットワーキング」を支援し、運営体制を選択できるようにしていると付け加えた。
新しいS4100製品群は24/48ポートの10/40/100GbEスイッチで、10G 48ポートと共に100Gアップリンクポートを備えた点を特徴に挙げた。また、S4200製品群の特徴では「Buffer Size」が挙げられたが、一般的な10/100Gスイッチに比べ500倍向上された6GBのPacket Bufferを搭載してHPCやビッグデータプロジェクトなどで有利な性質を備えており、TCAMテーブルサイズも一般スイッチに比べ15倍まで向上されたと説明した。この他にもS5148Fは48個の25Gのダウンロードリンクをサポートし、14世代パワーエッジサーバーで提供される25Gインタフェースとよく似合うと付け加えた。
国内の顧客事例では「ビッグスイッチ」のOSを使ってコントローラベースの環境を構築し、プライベートクラウドの構成でインフラの効率的拡張と管理性の向上、ネットワークのモニタリングを効率的に実装し、ハイパーコンバージド環境も効率に対応することができた事例が紹介された。また、大規模のゲーム社の事例では、40Gベースのオープンソースベースで独自のデザインのインフラを構成することにおいてOS10ベースの機器を活用しており運用の複雑さの減少と柔軟な拡張性、ベンダー従属性の脱却などの成果を得たと発表した。
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