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昭和電工、人工知能(AI)の活用によりアルミニウム合金の設計条件と機械特性の相関を高精度で予測するニューラルネットワークモデルを開発

記事公開日時 : December 2, 2021, 5:36 pm
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昭和電工株式会社(社長:森川 宏平 以下、昭和電工)は、国立研究開発法人 物質・材料研究機構(理事長:橋本 和仁 以下、NIMS)、国立大学法人 東京大学(総長:藤井 輝夫 以下、東京大学)と共同で、2000系(注1)アルミニウム合金の設計条件と機械特性の相関を高精度で予測するニューラルネットワーク(注2)モデルを開発しました。このモデルを活用することで、これまで困難であったアルミニウム合金の高温域での強度保持に最適な組成や熱処理条件の探索を迅速化し、合金の開発に要する時間を1/2から1/3程度に短縮することが可能となります。

アルミニウムは、鉄に比較して軽く、加工性も良いため幅広い用途で使用されていますが、アルミニウム単独では強度が低いため、一般には銅やマグネシウムなどの元素を添加したアルミニウム合金として利用されます。アルミニウム合金は、100度以上の高温保持時に強度が急激に低下するため、用途に応じて、高温下でも強度を維持できる合金の開発が求められています。しかしながら、アルミニウムに添加する元素の種類や合金自体の製造方法など、合金の特性を左右する因子が多く、要求特性を満たすアルミニウム合金の組成決定には、開発者の経験や知見、評価や分析を重ねる必要があり、開発に長い時間がかかっていました。

こうした課題を解決するため、当社は内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」に参画し、NIMS、東京大学とともに、AIの一種であるニューラルネットワークを活用し、材料開発を加速し、さらにより広範囲での最適な合金設計条件の探索を可能とするシステムの開発(以下、本開発)を進めてまいりました。 本開発では、2000系アルミニウム合金を対象とし、日本アルミニウム協会などの公開データベースから収集した同合金の410種類の設計データを用いて、室温から高温にわたる幅広い温度域での強度を高精度で予測するニューラルネットワークモデルを開発しました。

さらに、ニューラルネットワークモデルの構造とパラメータをレプリカ交換モンテカルロ法(注3)を用いたベイズ推定(注4)により最適化し、強度予測値の確からしさについても評価することが可能となりました。なお、このニューラルネットワークでは、10000個の条件を2秒という速さで計算できるため、多くの設計因子を短時間かつ網羅的に評価できます。

さらに本開発において、任意の温度において必要な強度値を入力することで、それを満足する合金を得られる確率を最大化する設計条件を提示する、「逆問題解析ツール」の開発にも成功し、200度の高温下でも高い強度を維持できるアルミニウム合金の設計が可能となりました(図)。

当社グループでは、「統合新会社の長期ビジョン」において、基礎研究の柱の一つとしてAI・計算科学に注力しています。今回の成果を当社グループの持つ様々な素材開発に応用して開発を加速し、お客様の課題を解決するソリューションを提供していくことで社会の発展に貢献してまいります。

本成果は12月6~8日にアメリカで開催される2021年Materials Research Society(注5)秋季大会にて発表予定です。

(注1)2000系:銅やマグネシウムが添加されたアルミニウム合金の系統で強度に優れる。ジュラルミン、超ジュラルミンなどが知られている。航空機の機体、工業部品(ねじ、ギヤ、リベットなど)で使われている。
(注2)ニューラルネットワーク:人間の脳の神経細胞をモデルとした機械学習手法。入力層、中間層、出力層を持ち、中間層を持つことでより複雑な関係の表現が可能となる。層が深いディープニューラルネットワークを用いた機械学習をディープラーニングと呼ぶこともある。
(注3)レプリカ交換モンテカルロ法:コンピュータによってベイズ推定の近似計算を行う手法の一つ。効率的に広範囲のパラメータ探索を行うことが可能な手法のため、パラメータが複数の局所解を持つ場合に、最適解に速く収束することで知られる。
(注4)ベイズ推定:ベイズの定理に基づき、観測された事実からその原因事象を統計的に推定する手法。本開発においては、用意したデータセットから、アルミニウム合金の設計条件と機械特性の関係を再現するニューラルネットワークモデルを推定することができる。
(注5)Materials Research Society:1973年設立の米国の材料科学会。毎年、春と秋の年二回総会が開催される。

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